「クレート」は愛犬旅行の最重要アイテム
そもそもクレートってなに?
クレートは、持ち運びができる犬小屋のようなもので、中が見えにくい構造になっています。ハード(プラスチック)とソフト(布)がありますが、基本はハードに慣らしましょう。ハードなら車に乗せて万が一事故にあった時も、また災害時に避難した時にも落下物などからわんちゃんを守ってくれます。
ケージ(ゲージ)とクレートの違いはなに?
ケージとは格子で作られたカゴのことで、クレートとの違いは「中がよく見える」ことです。一般的にクレートという呼び名が浸透していないので、クレートのことを「ケージ(ゲージ)」と記載する宿やショップもあります。犬がすっぽりと中に収まるカゴのことを指しているので外で利用するなら「中が見えにくい」クレートやバッグ等を用意しましょう。中が見えにくい方が外からの刺激を遮断できて、わんちゃんがより安心して過ごせます。
移動ストレス解消・夜鳴き対策にも
クレートのような薄暗くて適度に狭い「あなぐら」感のある場所は、わんちゃんが本能的に安心できるため、寝る場所である「巣」として好む傾向があります。クレートトレーニングはこの習性を生かし、クレートをわんちゃんのお部屋(=巣、寝床)として教えていきます。
◆クレート=わんちゃんのお部屋(=巣、寝床)
そんなクレートでお出かけすれば、わんちゃんは自分のお部屋に入ったまま、車や新幹線などで移動できます。知らない場所での滞在も、安心できる自分の部屋で寝ることができます。だから旅先で夜眠れなかったり、夜鳴きする子もクレートがあれば心配いりません。ほら、わんちゃんのストレスがグッと軽減できること、ちょっと想像できてきましたよね(≧◡≦)♪
クレート自体はオシャレじゃないし、かさばるし、持ち運びも楽ではありませんが、それでもクレートの良さを知ると、本当に重宝します!
旅行が車移動ならハードクレートがオススメですが、電車移動の小型犬の飼い主さんはソフトクレートもしくは移動は慣れているバッグに入れてソフトクレートは折りたたんで持ち運ぶ方が楽だと思います。
◇クレートの選び方は?おすすめクレートの紹介も読んでね◇
クレートに慣らす3ステップ
クレート=わんちゃんのお部屋、と教えるクレートトレーニングには3つステップがあります。
それでは、うちのレモンちゃんと実際にやってみますね!
ステップ①自分でクレートに入る練習
クレートの中にフードをばら撒き、犬が自主的にクレートの中へ入るようにします。
食いしん坊のレモンちゃんはすぐクレートに入っていきます。
クレートに入ったらフードを次から次へと入れていきましょう(10粒ほど)。クレートの中にいると美味しいものがどんどんもらえる!いいことが起きる!ことを教えます。
次は扉を閉めてクレートの隙間から10粒ほどあげていきます。フードがなくなる前に扉を開けます。扉が開いたらフードはあげないでください。扉が閉まっている時にいいことが起きることを教えます。ここまでを5回以上繰り返しましょう。
次はクレートに掛け布をかけている間に、フードを10粒ほどあげます。(クレートの前や横の隙間から)フードがなくなる前に、扉を開いて、掛け布を外しましょう。掛け布を外したらフードは一切あげないでください。掛け布がかかっている時にいいことが起きることを教えます。最初からここまで通しで5回以上は練習しましょう。一日にあげるフードを全部このトレーニングに使うつもりで進めてください。
クレートの中にどうしても入らないわんちゃん、後ろ足まで中に入れないわんちゃんはクレートの上下を離して、天井のない下のクレート部分にフード10粒ほどばら撒き、後ろ足までしっかり中に入れるように慣らしてください。
ステップ②クレートの中に長くいる練習
ステップ①ができるようになったら、掛け布をした状態で、
→フードを10粒ほど隙間からばらまく
→その場を離れる
→戻ってフードをまた隙間からばらまく
→その場を離れる
を繰り返します。
こうして飼い主さんがそばにいない状態に慣らしていきます。最初は数秒離れたら即!戻ってください。わんちゃんが「出してくださいワン!ワン!」と鳴かない内に戻ってフードを入れてあげるのがコツです。離れる時間をゆっくりと延ばしていきましょう。
あっという間にフードを食べてしまうわんちゃんには、コング↓という知育玩具を使います。
中にフードやおやつを詰めることができます(写真はフードをつめてビスケットで蓋をしています)。チーズやウェットフードを中に塗ってもOK♪
うちの子はコングが大好き。勝手に集まっておすわりしています、笑。
与えるとこのように中のものをとり出そうと夢中に↓
そんな魅惑的なコングなら、夢中になっている間クレートの中で静かに過ごすことができます。
コングについてもっと知りたい方はこちらの記事↓も読んでね♪
注意ポイント!
「出してくれワン!」とか「出してほしいのクゥ〜ン」と鳴き始めたら。まず鳴き止むのを待ちましょう。静かになったら扉を開いて出してあげます(鳴いてすぐ扉を開くと、鳴けば扉を開けてもらえると学習して要求吠えをするようになるので気をつけて)
【どうしても鳴き止まない場合】
対処法①
クレートをトントン!と(鳴き止む強さで)叩いてください。これは「天罰式」と呼ばれるやり方で、鳴いたらなんでかわからないけど嫌なことが起きた。天罰が起きた!だったら鳴くのはやめておこう...と思わせるのが狙いです。天罰なので、飼い主さんがトントンしたことがわからないようにそっと近づいてくださいね。鳴きやんだら扉を開けて出してあげましょう。
対処法②
わんちゃんがあきらめるまで鳴かせましょう。天罰式がきかない子や子犬にはこの方法をおすすめします。かわいそう...と思うかもしれませんが、そこはぐっと我慢してください。お菓子を買ってと泣き叫ぶ子供を無視するのと一緒です。泣けば言うことを聞いてもらえると学習させないように注意しましょう。鳴いても出してくれないと理解したら、わんちゃんは無駄に鳴くのをやめます。
あまりにも鳴き叫ぶ場合はステップ①に戻って「掛け布がかかっている時にいいことが起きる」をもっと練習しましょう。
また、飼い主さんの気配をそばに感じれば鳴かない場合は、そばにいてしばらく慣らしましょう。
ステップ③「夜はクレートで寝る」を習慣にする
ステップ②で数時間クレートの中で大人しく過ごせるようになったら、最後の仕上げです。夜、クレートで寝ることを習慣にさせていきましょう(扉は閉めて掛け布をかけます)。
初めは寝室ですぐそばに飼い主さんの気配を感じられる場所にクレートを置き、慣れたら別室へと離していきます。
朝まで中に入れっぱなしでも、すでにクレートの中は好きな場所になっているはずなので心配いりません。トイレは成犬なら7時間以上我慢できるので大丈夫です。クレートで寝ることが習慣になったら、クレートはその子が安心して過ごせるお部屋になっています。
生後6ヶ月未満の子犬の場合
生後6ヶ月未満の子犬はトイレを長く我慢できないのでステップ②まで練習しましょう。子犬がトイレを我慢できる長さは月齢+1時間が目安です。つまり3ヶ月の子は4時間、4ヶ月の子は5時間ということになります。
よし、クレートと一緒に愛犬旅行へGO!
①中にはふかふかな布やクッションを入れてあげましょう。
②タオルや布を被せて、そのまま車・電車で移動しましょう。
③宿泊部屋でもクレートで寝させれば安心♪
旅のこんな時にも便利!
◆吠えて興奮しちゃった時
◆なにかに怯えている時
◆そわそわ落ち着かない時
→クレートに入れて(布を被せて)落ち着かせることができます。
◆ホテルの部屋にわんちゃんだけ残す時。
(ひとりでフリーにさせておくのが心配)
◆旅館のお部屋で食事の時
(低めのテーブルの場合は食べ物へのいたずらが心配)
→クレートの中で(布を被せて)おとなしく待機させることができます。
まとめ
せっかくのわんちゃんとの旅行です。ストレスをなるべく抑えてあげて、わんちゃんも思いっきり楽しめるステキ時間にしたいですよね。
小型犬ならおしゃれなバッグやペットカート(バギー)を旅先で使ってもOK♪♪ただ一緒にわんちゃんのお部屋であるクレートも携帯して、車や宿に置いておくだけでわんちゃんの安心感は全然違います。中型犬以上の飼い主さんは移動のために、すでにクレートをお使いの方も多いのでは。ぜひ、そのクレートを移動のために「たまに入れるカゴ」ではなく「その子のお部屋」としてしっかり慣らしてあげてください。
クレートトレーニングをしておくと旅行だけなく実は災害時もとても役に立ちます。クレートに入れて避難することで、緊張感のある避難所でもわんちゃんは少し安心して待機することができます。逆にクレートに慣れていない子は、災害時の異様感と慣れていないカゴにずっと入れられるストレスに耐えることになって、ダブルでかわいそうなことに...。
★吠えちゃうわんこでも安心して旅行に行きたい!★